選択制企業型拠出年金制度(企業型DC)は将来の備えとしては非常にメリットがある点について、別記事でご紹介しました。
一方で始める前に把握しておくことが必要な点もあります。
企業型DCは企業が側が導入する制度であり、手数料を企業側が負担して貰えますが金融機関は企業側が選択したものとなります。
この金融機関を選択できないことで企業型DCは注意しないといけないと思った点を実体験を踏まえご紹介いたします。
投資商品に的確なものがあるか
Idecoでは金融機関を選択できるため問題となることは少ないですが、企業型DCでは金融機関を選択できないので落とし穴があります。
企業型DCの採用商品に投資適格商品が無いといったパターンがあります。
選択肢が多すぎて悩んでしまうという問題もありますが、選択肢が少なすぎるとこれは小さくない問題となります。
自らの体験談として、会社が企業型DCの運用された時に案内された商品が信託報酬が高い、アクティブファンドいわゆるぼったくり商品がほとんどでした。
インデックスがあったのはせめてもの救いでしたが、海外株式は全世界株式のインデックス(信託報酬0.9%程度)とアクティブ(信託報酬2%程度)の2商品しかありませんでした。
Idecoでも人気のeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の信託報酬0.1144%と比べると7.5倍もの差がありました。
7.5倍もの差があるものと言っても、たかだか1%以下なので影響ないと考えられた方も中にはいるかもしれません。
毎月2万円、年利4%、30年間この高い信託報酬で運用を続けた場合、この7.5倍の信託報酬の違いは170万円もの違いになってしまします。
分かっていたとはいえ、改めて複利の力を感じさせる結果となるようです。
最近自分の会社では別の商品も追加されて改善はされましたが、加入前に投資するのに適格な商品があるか事前のチェックが必須となりますので、ご自身が加入する前にはご注意ください。
スイッチングの活用を前提としてみる
ただ気になる商品が無いので、企業型DCを始めないのはせっかくの制度を利用できずに勿体ないとも考えます。
そこで企業型DCにはつみたてNISAには無い、スイッチングが可能であるのでこれを利用することで、将来的な商品追加を見越して始めることはできます。
手数料が2%以上して積立がどんどん目減りするようなアクティブファンドしかない場合は論外なので、その点はご注意ください。
スイッチング
スイッチングとは、これまでに積み立ててきた資産の商品構成などを変更することです。それまで積み立てを行ってきた商品を売却して別の商品を購入して入れ替えることを言います。
企業型DCと同様に将来の資産形成で使われるつみたてNISAなどではこのスイッチングができないのですが、企業型DCやiDecoについてはスイッチングできます。
このスイッチングを利用することで商品が改善するまで、積立をしながら待つといったことも可能とはなります。
一部の信託財産留保額(売却時手数料)を支払わないといけないことはデメリットとなりますので、できれば手間も考えて類似商品への乗り換えはあまり積極的にしたくはありません。
ただし、類似投資対象商品であれば新しく低い信託報酬の商品を扱えるようになったのであれば、前述した複利の力はやはり大きなものなので早期にスイッチングしていくことが利益の最大化に繋がることになります。
まとめ
企業型DCではiDecoのように自らが金融機関を選択できるわけでは無いため、希望するような商品を扱っていないことがあります。
企業型DCは将来のための資産形成としては有用な制度であることは確実ですが、商品によってはリスクだけが大きくなってしまう可能性もあるため、加入する前には適格商品があることは確認しておく必要があります。
ただし、企業型DCではスイッチングという金融商品の入れ替えが可能であり、途中で金融商品の入れ替えで優良商品が揃う場合もあるので、たとえ最適とは言えなくても許容できる商品があれば、商品のラインナップで加入を見送ることなく早めに始めることが良いと考えます。